秋ヶ瀬公園観察会報告  

        
          開催日      2023年 11月 03(金・祝)  

       集合場所   秋ヶ瀬公園三ツ池駐車場

       観察地    秋ヶ瀬公園    
   

       参加者    34名 (1日会員12名含む) 
 
       実施時刻   9:30~15:00

       鑑定人    福島隆一、栗原晴夫、近藤芳明、大舘一夫   

       世話人    大舘一夫、岡田久枝、橋本啓一、葛西俊明、福島隆一

       報告     大館一夫
   
       撮影     大舘くみ、河野茂樹

         

        
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      会長の朝の挨拶                会長の解説
         
        
       同定会場の様子            


キノコ観察会報告

秋雨前線の到来による長雨が続き気温が20℃近くに下がってくると、待望の秋きのこの始まりといわれています。通常9月下旬から10月にかけてその時期がやって来るのですが、ここ何年もそんな気候変化にお目にかかれず、当然ながらこの時期に多くのきのこに出合うことも叶わずにいます。この日もここ秋ヶ瀬公園の気温は25℃を超え、多様な秋きのことの出会いは期待薄でした。また、新型コロナの5類移行に伴い感染予防対策の要請もなくなったこともあり、コロナ禍以前は恒例となっていたきのこ汁の再開を計画したところ、公園での火気取り扱いの規定が変わって、事前の予約と火気の使用場所の限定が条件となり、既に予約の時期が過ぎていて実施は難しい状況で、残念ながら今年は断念することになりました。

朝9時を過ぎる頃から参加者の皆さんの姿が見え始め、9時30分の開始時間には30名近くとなり、最終的には一日会員を含め34名が参加されました。会長の挨拶と担当の注意事項、事務局からのお知らせがあって観察会の開始となり、それぞれがお目当ての場所へと出発いたしました。そして12時を過ぎる頃、収穫物を手に一人また一人と同定会場へ戻って来られました。次々と並べられたきのこの種数は40種近くあり、同定会を実施するには十分な数で、埼玉きのこ研究会の底力を見る思いでした。種類としては、サルノコシカケ類が多いことはやむを得ないところですが、ヒラタケ・ハタケシメジ・ヤナギマツタケなどの美味と言われる種が大漁で、これらのきのこに出合った方々は、その料理法などの情報交換に熱が入っていました。ただ、かつては必ず姿を見せていた晩秋のきのこムラサキシメジが見られなかったのは残念でした。同定できたきのこは35種で、全体的に同定の難しい種は少なく、鑑定人の皆さんには少々手持無沙汰の感もありましたが、このような時に限って珍種・稀種が出るもので、少し遅れて戻られたMさんが「こんなものがあったのですが」と,取り出されたきのこは、色は白く、形はウスタケ型、子実層托が孔というもので、鑑定人の方々もいちように初めて見る種だと言うなか、会長がかつて見たことがあると言われたので、会長の宿題ということになりました。結果は変形したスジウチワタケではないかとのことでした。さらに、小学5年生の可愛いお嬢さんが小さなきのこの出た松毬を出品されました。大舘がマツカサキノコモドキと同定したところ、会長がニセマツカサシメジではないかと言われたので、こちらは大舘の宿題になりました。結果は会長の言われた通りニセマツカサシメジでした。並んだきのこの中から、皆さんそれぞれに興味を持たれたきのこを熱心に観察されていて、なかでシワタケの綺麗な色と子実層托の皺状の形には多くの関心が集まっていました。また、縦に割れ目があるスエヒロタケの偽ヒダやチリメンタケの縮緬模様の管孔などにも関心が向けられていました。最後に会長の今日出合ったキノコについての懇切丁寧な解説と、ご自身が育てられた見事な作品を前にした、Hさんによるヤマブシタケの栽培についての楽しいお話があり、楽しく充実した観察会は終了となりました。 (文責 大舘一夫)



              
    ミドリスギタケ                  ニセマツカサシメジ

    
     チリメンタケ                 スエヒロタケ

    
      カワラタケ                 オオミノコフキタケ

    
     ウラベニガサ               変形したスジウチワタケモドキ

        
         ヒラタケ                コブリビロードツエタケ



秋ヶ瀬公園確認種 (35種)

科名 属名 種和名 種学名
担子菌門 ハラタケ目
モエギタケ科 スギタケ属 ツチスギタケモドキ Pholiota sp.
モエギタケ科 スギタケ属 ヌメリスギタケモドキ Pholiota cerifera
モエギタケ科 フミヅキタケ属 ヤナギマツタケ Agrocybe cylindrica 
ヒメノガステル科 チャツムタケ属 ミドリスギタケ Gymnopilus aeruginosus
オキナタケ科 コガサタケ属 キコガサタケ Conocybe lactea
ナヨタケ科 キララタケ属 コキララタケ Coprinellus domesticus
ハラタケ科 ホコリタケ属 ホコリタケ Lycoperdon perlatum
ハラタケ科 ノウタケ属 ノウタケ Calvatia craniiformis
ハラタケ科 ササクレヒトヨタケ属 ササクレヒトヨタケ Coprinus comatus 
シメジ科 シメジ属 ハタケシメジ Lyophyllum decastes
イッポンシメジ科 イッポンシメジ属 クサウラベニタケ Entoloma rhodopolium
キシメジ科 ニセマツカサシメジ属 ニセマツカサシメジ Baeospora myosura
タマバリタケ科 エノキタケ属 エノキタケ Flammulina velutipes
タマバリタケ科 →ビロードツエタケ属 ツエタケ Xerula radicata
タマバリタケ科 ビロードツエタケ属 ビロードツエタケ Xerula pudens
スエヒロタケ科 スエヒロタケ属 スエヒロタケ Schizophyllum commune
科未確定 ザラミノシメジ属 コザラミノシメジ Melanoleuca polioleuca
ウラベニガサ科 ウラベニガサ属 ウラベニガサ Pluteus cervinus
ウラベニガサ科 ウラベニガサ属 ベニヒダタケ Pluteusl eoninus
ヒラタケ科 ヒラタケ属 ヒラタケ Pleurotus ostreatus
担子菌門 タマチョレイタケ目
タマチョレイタケ科 タマチョレイタケ属 スジウチワタケモドキ Polyporus grammocephalus
タマチョレイタケ科 センベイタケ属 センベイタケ Coriolopsis strumosa
タマチョレイタケ科 シュタケ属 ヒイロタケ Pycnoporus coccineus
タマチョレイタケ科 チャミダレアミタケ属 チャミダレアミタケ Daedaleopsis confragosa
タマチョレイタケ科 シロアミタケ属 チリメンタケ Trametes elegans
タマチョレイタケ科 シロアミタケ属 クジラタケ Trametes orientalis
タマチョレイタケ科 シロアミタケ属 カワラタケ Trametes versicolor
タマチョレイタケ科 ウチワタケ属 ウチワタケ Microporus affinis
マンネンタケ科 マンネンタケ属 オオミノコフキタケ Ganoderma australe 
シワタケ科 ヤケイロタケ属 ヒメモグサタケ Bjerkandera fumosa
シワタケ科 コガネシワウロコタケ属 シワタケ Phlebia tremellosa
科未確定 ミダレアミタケ属 ミダレアミタケ Cerrena unicolor
担子菌門 スッポンタケ目
スッポンタケ科 ツマミタケ属 ツマミタケ Lysurus mokusin
スッポンタケ科 スッポンタケ属 スッポンタケ Phallus impudicus
担子菌門 キクラゲ目
キクラゲ科 キクラゲ属 アラゲキクラゲ Auricularia polytricha

           

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